乳がん治療の記録
全摘手術をしないですむ方法は本当にないのかと模索する中で、先進医療についても調べました。 先進医療とは、最先端の医療のうち、国によって認められたものです。しかし標準治療とは違って効果は確実とは言いきれず、また保険がきかないため高額です。がん…
入院・手術が近づいてきても、私の中ではまだ「なぜ毎年検診を受けて早期の非浸潤がんで見つかったのに全摘なんだろう」という思いは消えませんでした。 改めて、乳がんについてまとめますと、がんというのは増えることが止まらない細胞です。そしていろんな…
入院まであと2週間です。麻酔科の先生、薬剤師さん、看護師さんから入院や手術の詳細を聞くために病院へ行きました。 麻酔科の先生にたずねました。 「全身麻酔は初めてなので、とても怖く感じています。素朴な疑問ですが、手術の途中で目が覚めたりは・・・…
乳房の全摘手術をすることと、再建手術はしないことを決めてから、お風呂の鏡で改めて自分の体を見てみました。 「なかなかいいおっぱいだったんじゃないか?」と馬鹿みたいですが思いました。 私は長らく自分をゲテモノだと思って過ごしてきました。子ども…
形成外科からの帰宅後、乳房の同時再建をするかどうかについて、全摘をされた乳がんの先輩Yさんにも相談しました。 「自分はしなかったけど、7~8年ごとに中身を入れ替えるって意外とめんどうなものなのね・・・」 とYさんは驚いていました。そして 「うん、…
形成外科(美容外科)を訪れました。乳房の全摘と同時に再建をする場合、手術は全摘担当の先生と再建担当の先生で行われるそうです。この日は後者の形成外科の先生とお話をします。 先生はお医者さんというより芸術家みたいな雰囲気でした。患者の不安や悲し…
「“遺伝子検査”をするかどうか考えておいてください」 先生がおっしゃいました。 乳がん患者さんの5~10%は遺伝性の乳がんによるものなのだそうです。自分がそうであるかどうかは、血液を採って遺伝子検査をしてもらえばわかります。検査に20万円もかかって…
「乳がんの検診に使われるレントゲンの機械“マンモグラフィ”は、10代・20代では被ばくのリスクが高く、乳がんの原因にもなりかねない」と、ある先生がインタビューでこたえていました。 母が乳がんになったのは私が18歳の時で、その年から私は毎年、律儀に検…
「原因探しをしてしまうのは自然な流れ」と看護師さんはおっしゃいます。やめようと思っても、むずかしいです。ある程度、気が済むまでやってもいいのではないかと私は思います。原因探しをし尽くしたらやっと次に行ける、というタイプの人もいるでしょう。 …
乳がんになったことと、入院・手術の日程などについて、各方面に伝えなければなりません。私はフリーランスで文筆業・挿絵業をしていますので、先方にスケジュールを調整していただく必要が出てくるからです。また場合によっては、代わりの方にお願いするこ…
母が乳がんになったのは私が18歳でしたが、その時に“がん保険”に入りました。25年間以上、毎月保険料を支払ってきましたが、ついに利用する時が来ました。本当は利用しないにこしたことはなかったのですが・・・。 ちょうど一年前に保険の見直しもしていたの…
全ての人が安心して医療を受けられるようにするための制度があることを私は初めて知りました。“高額療養費制度”です。患者さんの医療にかかる一ヶ月の金額に上限を設け、それ以上は払わないでもOKにしてくれる制度です。 上限額は年齢や年収によってまちまち…
乳がんと言われた日の数日後、母校の中学・高校の学園祭がありました。今年は生徒たちのダンスや演劇、演奏などの発表をオンラインで見ることができました。同級生たちとLINEで「上手だね」「すごいね」などと言いながら見るのはとても楽しかったです。 若い…
“セカンドオピニオン”とは他の病院にも意見をうかがってみることです。「診断は正しいと思うか」「手術の方法はどう思うか」「こちらの病院だったらもっといい治療がないか」などをうかがいます。大きな病院にはセカンドオピニオン外来もあります。そこに行…
「全摘はしますが、乳頭だけを残して手術と同時に再建もできますがどうしますか?」 そう先生に言われた時、うれしくて涙が出ました。再建とは、手術で取り除いた乳房の中身のかわりにインプラントなどを詰め、もともとの見た目と変わらないようにする方法で…
手術を担当してくださる先生との顔合わせです。きびきびとして賢そうな40代くらいの女性でした。 「せっかく早期に見つかったのに手術しなくちゃいけないのでしょうか・・・」 私はずっと思っていたこと言いました。 「せっかく早期に見つかったのに手術しな…
手術の前に検査がいくつかあります。血液検査や尿検査、心電図検査などは健康診断でもおなじみですので慣れたものです。しかしMRIとCTは初めてです。 MRIでは電磁波で乳房の中を撮影します。がんがどれくらい広がっているかがわかるそうです。分厚い鉄の扉を…
私が乳がんと言われたのは、安倍さんが総理を辞任した時でした。辞任の理由は病気によるものでした。 あるラジオの人が「安倍さんはまたほっぽり投げた」「病気で政治判断ができないなんてことありますか?」「安倍さんは“病気の人は仕事ができない”というイ…
乳がんと言われた日は、帰宅後もずっとしょんぼりしていました。「今日くらいは落ち込んでもいいよね」と思いました。 「もし乳がんだったら真っ先に連絡しよう」と思っていた人が二人いました。乳がんを経験した学生時代の同級生のUさんと年上の作家のYさん…
病院から出ると悲しくなってきて泣きました。歩きながら「何がいけなかったんだろう、あれがいけなかったんだろうか、これのせいだろうか」と原因を考え始めました。 街路樹が黄葉していたのをぼんやりとおぼえています 「自分の体にストレスをかけてしまっ…
乳房内には乳管がはりめぐらされている ほとんどの乳がんのがん細胞は乳管の中から生まれます。乳管とは、母乳を作る乳葉と母乳が出る乳頭の間にある通路です。乳房内に放射線状にはりめぐらされています。 いわゆる“しこり”になる浸潤がんとは、がん細胞が…
生検の結果が出るまでの2週間は落ち着かない日々でした。とは言えただ待つのみで、どうがんばりようもないのでなるべく普通に過ごすようにしました。人にも会い、テレビも見て、仕事もしていました。 生検の結果を聞きに病院へ。先生はおっしゃいました。 「…
恐怖のマンモトーム生検は無事に終わりました。でも、さらなる衝撃はお会計で24100円と伝えられた時でした。高っ!2万あれば余裕で足りると思っていたのに……。手持ちがないのでクレジットカードで払いました。このタイプの生検は手術扱いになるので高額なよ…
生検の日の待合室では逃げ出したい気分でした。乳房に太めの針をさして中身を吸い取るなんて、どう考えても怖いし痛そうです。 右のように細長く組織が吸い取れるそうです 私は何かあるとすぐに不安に押しつぶされそうになります。母親に「どうせできっこな…
大きな病院の乳腺外来は先生も技師さんも看護師さんも女性ばかりで安心感がありました。女性の病気を女性に診てもらえる時代になってありがたいなぁと感じました。 その日はマンモグラフィと超音波の検査を改めて行いました。超音波の検査は、技師さんがバー…
「大きな病院で検査をしてもらってきてください」とクリニックの先生がレントゲンを見て言いました。 「検査とは……?」「乳房に太めの針をさして組織を吸い取ります」「痛そうですね……」「麻酔するから大丈夫だよ」「そうでしょうけど……」 その吸い取った組…