乳がん治療の記録【11】手術日が決まる
手術を担当してくださる先生との顔合わせです。きびきびとして賢そうな40代くらいの女性でした。
「せっかく早期に見つかったのに手術しなくちゃいけないのでしょうか・・・」
私はずっと思っていたこと言いました。
「せっかく早期に見つかったのに手術しないのはもったいない!」
先生はおっしゃいました。 そうなの?
がんにものんびりしたタイプとがつがつしたタイプがいるそうです。また、どんな薬が効きやすいかなどもタイプ別できるそうです。それらの分類を“サブタイプ”と呼びます。
生検で吸い取った組織を病理医さんが顕微鏡で調べて、私の乳がんのがんのサブタイプをすでに出してくれていました。“HER2(ハーツー)”という項目は“がつがつ度”で、陰性だとのんびり、陽性だとがつがつです。
私のがんはHER2陽性のがつがつタイプでした。日本人の乳がんのがんの7割がHER2陰性なのに、残りの3割に入ってしまっていました。がんががつがつしているので、私がうかうかしているうちに、しこりをどんどん作り出す可能性もなきにもあらず。「手術しないともったいない」のは、そういうことだそうです。
「手術日は一ヶ月後のこの日でどうですか?」
カレンダーをさしながら先生がおっしゃいました。
「え?もう手術日が決まるのですか?ええと・・・はい、大丈夫です・・・」
でも、まだ心の準備ができていませんので、
「あの・・・キャンセルしたくなったら、キャンセル料はとられますか?」
と念のため聞いてみました。
「ホテルじゃないんだから」
先生は笑いながらおっしゃいました。
キャンセル料はとられないようです。