乳がん治療の記録【17】病気になるのは“負け”ではない
乳がんになったことと、入院・手術の日程などについて、各方面に伝えなければなりません。私はフリーランスで文筆業・挿絵業をしていますので、先方にスケジュールを調整していただく必要が出てくるからです。また場合によっては、代わりの方にお願いすることもあるかもしれません。
先方にお伝えすると驚かれましたが、入院中や手術直後にゆっくりできるようスケジュールを前倒しして下さるなどご配慮いただきました。ご迷惑をかけて申し訳なく思いつつも、感謝の気持ちでいっぱいです。
また、友人・知人にも伝えました。頻繁に会ったり連絡をとったりしているのに、何も言わなかったりごまかしたりすることが私にはできません。みんな、心配や共感、励ましやお祈りをしてくれました。また病気や病院についての情報やアドバイスもくれました。優しさに触れて、涙が出ます。
母は自身が乳がんになった時、それを他人に隠していました。病気になったことを“負け”と感じたのでしょうか。彼女は昔から「他人の不幸は蜜の味。みんな、ひとの不幸を面白がっている」と言っていました。だから自分が病気になったら、他人がほくそ笑むと思っているのでしょう。
病気になるのは残念ではあるけれど、“負け”になるわけではありません。少なくとも私の知人・友人で、病気になったと聞かされて勝ち誇る人など皆無でしょう。
病気になったことをアピールすることはないけれど、日頃から付き合っている人には伝えたほうがいいと感じます。伝えないことで不信感を抱かせたり、不誠実な印象を与えてしまったりすることのほうが私は嫌です。