乳がん治療の記録【52】自分を愛せなかった後悔
手術から2週間後、傷口に貼ってあったテープをはがしました。ピリッとはがした瞬間に傷口が裂けないか不安になりました。裂けはしませんでしたが、傷口は赤いみみず腫れのようになっていて、やはり少しえぐいです。
残された右側の乳房をまじまじと見ました。
「ふくらみは貴重品だったな」
母親に容姿を醜い醜いと言われながら育ったので、自分の体など見たくもないと思ってあまり見なかったけれど、人としての、女性としての美しさはそれなりにあったのだろうと感じました。
「もっと自分を愛せたらよかったなぁ、いろいろと・・・」
あらゆるものを愛しそびれてしまったなと思います。外見のことに限りません。フレッシュで、唯一無二で、美しかった自分の持ちものを、片っぱしから母親に罵倒され嘲笑され、自分でそれらを愛しそびれてしまったことがとても悔しいです。
「生きのびることができた意味をこれから感じられたらいいのだけど・・・」と思いました。