乳がん治療の記録【6】浸潤がんと非浸潤がんについて
ほとんどの乳がんのがん細胞は乳管の中から生まれます。乳管とは、母乳を作る乳葉と母乳が出る乳頭の間にある通路です。乳房内に放射線状にはりめぐらされています。
いわゆる“しこり”になる浸潤がんとは、がん細胞が乳管の壁を突き破り、管外で増えたもの。一方、非浸潤がんとは、乳管の壁を破らずに、管内でのみ増えていきます。しこりのまだできていない早期がんではありますが、細い乳管をうねうねと進んでいくので、がんのある範囲は広くなってしまいます。
しこりが小さい場合の浸潤がんですと、がんのある範囲としては広くはないので、その付近を取り除くだけの乳房温存手術も可能です。しかし非浸潤がんは範囲が広くなるため、乳房切除手術いわゆる“全摘”になることが多く、私の場合もそうであるとのことでした。
「全摘……」
いまいちピンときません。自分の左の乳房がなくなるのが想像できません。44年間連れ添ったものがなくなるなんて……。
次回の来院からは実際に手術を担当される先生の診察に替わるとのことでした。ため息をつきながら病院を出ました。