乳がん治療の記録【14】若くて健康な子たち
乳がんと言われた日の数日後、母校の中学・高校の学園祭がありました。今年は生徒たちのダンスや演劇、演奏などの発表をオンラインで見ることができました。同級生たちとLINEで「上手だね」「すごいね」などと言いながら見るのはとても楽しかったです。
若い子たちががんばっている姿を見て、「できることをできるうちにたくさんやってほしいな」と心から思いました。30代や40代になったら病気になることもあるかもしれない。若くて健康な時間は長くはない。だから泣いたり笑ったり、努力したりくじけたりして充実した毎日を過ごしてほしいと思いました。私には子どもはいませんが、もしいたら、そのためにも惜しみないサポートをせずにはいられなくなるだろうと感じました。そして世の中のほとんどの母親は、そう思って子どもを日々サポートしているのだと最近わかってきました。
私の母は、若かったころの私に対して、そんな思いをひとかけらも持ってくれませんでした。自分が楽することばかりを考え、自分が楽しいことばかりをしていました。
「なんであたしがしなくちゃいけないのよ!」
ご飯を作る、洗濯をする、掃除をする、そういったことをまともにしませんでした。いずれも長続きしない習い事や一日限りの関心事にばかり目が向いていました。
「そんなの自分でやってよ!」
学校で必要なものを買い揃える、学校から渡された書類にサインをする、それすらめんどうくさがりました。寝っ転がってテレビを見ている母の背中ばかりが私には思い出されます。
しかしそんな親のもとで育ちながらも、私がこんなふうに若い子たちの幸せを願うことができる大人になれたのは奇跡ではないかと自分のことながら思います。
LINEで同級生の一人が言いました。
「私たちだって今が一番若いんだよ。やりたいことをやれるうちにやろう!」
「そうだね!」