乳がん治療の記録【1】クリニックの乳がん検診にて
「大きな病院で検査をしてもらってきてください」とクリニックの先生がレントゲンを見て言いました。
「検査とは……?」「乳房に太めの針をさして組織を吸い取ります」「痛そうですね……」「麻酔するから大丈夫だよ」「そうでしょうけど……」
その吸い取った組織にがんがあるかどうかを顕微鏡などで調べる検査を、“生体検査”略して“生検”と呼ぶそうです。
このクリニックでは30代の時から10年以上、毎年乳がん検診をしていただいていました。乳房のレントゲンはマンモグラフィと呼ばれる機械で撮影されます。乳房を板で挟んでぺっちゃんこにして撮影するので痛みをともなうのが少々難です。今回の検診ではそのレントゲンに“石灰化”なるものが写っていたそうです。石灰化はレントゲンの黒い背景に白い星のように映ります。
分泌物の中のカルシウムが引っかかっているだけで問題のないものが多いのですが、がんの死骸である場合もあるそうです。 その場合は小さな星が密集したように見え、私の左胸のレントゲンにもそれがありました。
レントゲンには、いわゆる“しこり”も写ります。石灰化はしこりになる前段階なのだそうです。たとえしこりではなかったとしても、もしすでにがんが発生し、うごめき始めたのであるなら早めに対処せねばなりません。
「がんだったらいやだなぁ。手術とかめんどくさいなぁ」 と思いながらも私は数日後、紹介状をたずさえ大きな病院へ行きました。